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ＮＨＫドラマ「坂の上の雲」の歴史認識を問う

日清戦争の虚構と真実

この本に関するお問い合わせ・感想

著者	中塚　明著安川　寿之輔著醍醐　聰著
ジャンル	人文・歴史書 > 歴史
出版年月日	2010/06/10
ISBN	9784874984437
判型・ページ数	4-6・176ページ
定価	本体1,500円＋税
在庫	在庫あり

この本の内容

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2009年、2010年、2011年足かけ３年に渡るNHKの壮大なプロジェクト、スペシャルドラマ「坂の上の雲」。昨年末放映された第１部の主題は「日清戦争」。しかし、ＮＨＫは「朝鮮半島の支配をめぐる日本と清国の争い」という本質から目を逸らし、「大陸からの脅威」に立ち向かう「祖国防衛戦争」のイメージを強調した。

韓国併合１００年という節目の年に、ＮＨＫは日清戦争の何を描き、何を描かなかったのか。
近代日本の最初の本格的対外戦争である“日清戦争”の全体像を、３人の専門家が分かりやすく伝え、当ドラマの虚構をあばく！

Ⅰ　明治の日本ははたして「少年の国」だったのか
一九世紀はフェアーな時代か、日本はあどけない「少年の国」か
江華島事件の艦長・井上良馨の「朝鮮征服論」
修好条規の中身は幕末日本の不平等条約と同じだったのか
「朝鮮国ハ自主ノ邦ニシテ」の意図するものは──
Ⅱ　日清戦争ははたして「祖国防衛戦争」だったのか
朝鮮の社会的・政治的混乱──壬午軍乱はなぜ起こったのか
早くから清朝中国との戦争準備を進めていた日本の陸海軍
「開戦の大義名分」はどうする──
大鳥公使が考えた「開戦の大義名分」
「歓声湧くがごとき」のなかに埋没する開戦の不安と懸念
Ⅲ　伊藤博文は「臆病なほどの平和主義者」だったのか
首相の伊藤博文が「日清開戦を阻止しよう」としたというのは本当か
伊藤博文と軍部の間に葛藤があったのは事実だが──
伊藤の政治手法のしたたかさ
農民軍には「殲滅」を命じた伊藤内閣
Ⅳ　東郷平八郎はなぜ「高陞号」を撃沈したのか
清国兵満載の貨物船を沈め、機関銃をあびせた東郷
「もうヨーロッパ人はいないか！」
「海戦」ではどちらが先に撃ったのか
「戦時」が必要だった日本軍
撃沈したロシア兵を救助した上村艦隊
戦闘開始前、なぜ大隊長は自殺したのか
日清戦争の参謀にみる日本軍のおごりと征服欲
Ⅴ　ＮＨＫドラマ「坂の上の雲」が描かなかったものは何か
日清開戦のため日本が周到に計画・実行した朝鮮王宮占領
日清戦争中の朝鮮での抗日闘争
うやむやにされた旅順の虐殺
「王妃殺害」──いまだに隠蔽される「歴史上古今未曾有の凶悪」事件
Ⅵ　日本は下関講和会議で何を得たのか
なぜ講和会議を描かなかったのか
陸奥外相が用意した講和条件案
「遼東半島」の分割をめぐる陸奥外相と伊藤首相のやりとり
アジアの「圧迫国」の地位を確立する日本
「再戦の機あるべし、遼東半島はそのときに」と「大いにお笑いあそばされる」天皇
Ⅶ　秋山好古の尊敬する福沢諭吉は、はたして「一身独立」を説いたのか
「坂の上の雲」は誤謬で始まった──『学問のすすめ』の「一身独立」
丸山眞男以下、今につづく「一身独立して一国独立する」の誤読
アジア蔑視と「強兵富国」の道を先導した明治国家の「御師匠番」福沢諭吉
日清戦争に熱狂した福沢と晩年の能天気な人生総括
Ⅷ　いま「坂の上の雲」を制作・放送するＮＨＫの社会的責任
　１　史実を改ざん・黙殺した原作の誤りを公共の電波で拡散させる責任
ＮＨＫの企画意図は時代錯誤
日清・日露戦争を「受け身の」「祖国防衛戦争」とみなす史実のねじ曲げ
伊藤博文を非戦の平和主義者と描く歴史の歪曲
日本は国際法を守ってフェアに戦ったと描く歴史のねつ造
　２　司馬遼太郎の遺志に背いてまで原作のドラマ化を推進した責任
朝鮮観の揺らぎと明治・昭和断絶史観の限界
近現代史を学び直す機会に