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福沢諭吉のアジア認識

日本近代史像をとらえ返す

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著者	安川　寿之輔著
ジャンル	人文・歴史書 > 思想・哲学 > 思想
出版年月日	2000/12/10
ISBN	9784874982501
判型・ページ数	4-6・322ページ
定価	本体2,200円＋税
在庫	在庫あり

この本の内容

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『福沢諭吉全集』21巻から朝鮮・中国に関する発言を洗いだし、そこに貫流する蔑視と偏見、帝国主義的思想構造を明らかにすることにより、丸山真男はじめ先行研究がつくりだした“福沢神話”を福沢自身の言葉をもって根底からくつがえす問題作！

まえがき
《序章》福沢諭吉研究の七不思議
帝室「政治社外」論と〝天皇の海外出陣〝提案
定式「一身独立して一国独立する」の誤読
福沢特有の状況的思考・発言の無視
対象への内在化の怠慢──学問的手続きからの逸脱
福沢は「原理原則ある哲学をもつ思想家」か
借物の言葉＝｢天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
日本近代化の道のり総体の「お師匠様｣＝｢最も憎むべき民族の敵｣
第一章　初期啓蒙期の福沢諭吉の国際関係認識
｢傍若無人｣｢切捨｣御免｢無情残刻｣
｢パワ・イズ・ライト｣の国際関係
初期啓蒙期の国際紛議──台湾出兵と江華島事件
アヘン戦争の認識と評価
　──中国の民族的英雄・林則徐を非難
明治政府と福沢諭吉の関係
　──初期啓蒙期福沢のまとめと評価
第二章中期の福沢諭吉＝保守思想の確立
　　　　　　──壬午軍乱・甲申政変・「脱亜論」
保守思想への過渡期──『通俗国権論』と『民情一新
　①『通俗民権論』と『通俗国権論』の同時刊行
　②思想の方法論の転換
　③『民情一新』による「先進」資本主義諸国認識
保守思想の確立──『時事小言』と『帝室論』
　①保守思想の確立＝『時事小言』の刊行
　②｢愚民を籠絡｣する天皇制路線の確立
壬午軍乱・甲申政変と福沢諭吉
　①壬午軍乱と福沢
　②甲申政変と福沢
アジア蔑視思想と文明史観による侵略の合理化──「脱亜論」
　①一貫するアジア蔑視思想
　②文明史観による侵略の合理化
　③｢脱亜論」の位置づけ
日清戦争への道は不可避であったのか
第三章　日清戦争期の福沢諭吉
──朝鮮王宮占領・旅順虐殺事件・閔妃殺害・台湾征服戦争
福沢諭吉の戦争キャンペーン
　　──居留人民の保護という口実
再び「文明史観」による侵略の合理化
｢朝鮮の自立・独立」のためという口実
アジアへの蔑視・偏見・マイナス評価のたれ流し
　　──「チャンチャン論」
戦争勝利への熱中・熱狂──戦争報道の悪しき伝統
一貫する軍備拡大要求
明治天皇の積極的戦争指導とそれへの賛美──「靖国の思想」も
台湾征服戦争・武断的植民地支配と福沢諭吉
ジャーナリスト福沢の隠蔽報道
　①朝鮮王宮占領と福沢
　②旅順虐殺事件と福沢
　③閔妃殺害と福沢
《終章》アジア太平洋戦争への道のり
──福沢諭吉に敷設された「暗い昭和」への軌道
最晩年の福沢諭吉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　①アジアへの侮蔑
　②天皇制論
　③非合理的ナショナリズム
　④労働運動・階級対立への警戒・警鐘
　⑤思想家福沢諭吉の人生の総括
アジア太平洋戦争への道のり
　　──「明るくない明治」から「暗い昭和」への道
　①侵略・殺戮への道をひらいたアジア蔑視思想
　②国家を対象化しえない国民の形成
　③｢満蒙は我国の生命線｣、｢大東亜共栄圏｣の｢盟主｣思想の先駆
　④｢尽忠報国｣｢報国致死」
　⑤皇軍構想──｢生きて虜囚の辱めを受けず｣と南京大虐殺への道、
　　あわせて希薄な戦争責任意識
　⑥権謀術数的「内危外競」路線と靖国の思想
　⑦日本軍性奴隷「従軍慰安婦」への道
戦争責任の視座から学問の社会的責任を問う