学級崩壊

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若い人からベテランまで苦しめる学級崩壊！　子どもたちの“荒れ”の背景をたどると、そこに見えてきたのは、「子どもらしく生きる場」を奪われ、ストレスを抱えて生きるこの国の子どもたちの現実だった。そうした子どもたちの前に立つ教師が「何をこそ大切にしなければならないのか」を実践事例で指し示した本である。

 

 

 

今回、この本を編むきっかけとなったのは、二つの手記との出会いでした。一つは、教師歴八年の花城先生が遭遇した学級崩壊、もう一つは大ベテランともいうべき吉益先生が陥った悪戦苦闘の一年間の記録です。

Ⅰ　【座談会】若い教師たちが直面した子どもの荒れ
　　１　成り立たない授業・子どもたちの反発
療休代替で一〇年ぶりの学校
授業が始まらない
教室に行くのが恐い
「聞いてください！」
お楽しみ会の笑顔
一人ひとりはいい子なのになぜ？
二年連続の学級崩壊
保護者の苦情を受けて
学年団にも有効な手だてなく
子どもたちの反発にたじろぐ
子どもとしっくりいかないつらさ
揺れる指導が不信感に
何をやってもうまく出来ない
　　２　子どもたちはなぜ荒れるのか
きびしい叱責、ほめ言葉がない
忙しすぎる子どもたち
一日ゲーム三時間
子どもはゴチャゴチャしたいと思っている
　　３　いちばんつらい時、何が支えになったか
誰かひとりでも気持ちをわかってくれたら
新任一年目を乗り切れたのは
指導教官もつかない臨任時代の支え
一日に一個、成功体験を積み重ねる
白い丸いテーブルの話
　　４　まとめ
子どもは、受け止めてくれる人の前で荒れる
つらい時、つらいと口にすることの意味
教師同士のつながりを取り戻すために
Ⅱ　【手記と分析】ベテラン教師が遭遇した試練
　　【手記】荒れる学級の中で悩み続けた一年間────────吉益敏文
「意味不明」「先生には関係ないやろ」
意欲がなく、「うつ」状態に
自分は「指導力不足教員」なのか
職場の仲間にすべてを話す中で
父母にも正直に話そう
校長・教頭と共に「いじめ・暴力」の特別授業
「ちくったな、教師失格や」
ひたすら卒業を待つ日々
残された課題
　　【付記】子どもたちはなぜ荒れたか、時間を経て見えてきたこと
若い教職員の学習会からもらったメッセージ
子どもたちの暴言に心が萎える
一人では何もできないけれど
子どもたちの中の甘えと「攻撃性」
父母のシビアな意見の裏側は
それでも教師が続けられるのは
失敗や悩んだことをあえて語る
四年ぶりの再会
　　【分析】苦難をくぐり抜ける道を探る───────────山﨑隆夫
「荒れる」子どもたちと向かう日々
学級崩壊と子ども世界
吉益先生の「学級崩壊」の実践記録から考えること
年配教師が困難に直面しやすいのはなぜか
苦しいときに、これだけは心に刻んでほしいと思うこと
Ⅲ　【手記と分析座談会】教師人生の危機・学級崩壊
　　【手記】はじめて転勤した学校で直面した困難──────花城　詩
「大物はいない」といわれたクラスの担任
崩壊状態
ゲームも学級通信も通じない
暴言・悪態は担任に対してだけ
マリオの家庭から届いた八項目の質問状
管理的で威圧的な学校への疑問
荒れるマリオのもう一つの顔
かみ合わない両親との面談
荒れの中でできること
学級内クラブとトトロカード
「このこと、家に連絡しないで」
二学期も困難の連続
トラブルと話し合い
マリオの変化
　　【付記】孤独とのたたかいだった一年
　　【分析座談会】学級が荒れた時、教師はどうしたらいい？
子どもが教師を試験観察する
荒れるのは担任の前でだけ
「ほめる」こと、子どもと「遊ぶ」こと
教師の遊び心が子どもとの距離を縮める
学級に正義を取り戻すには
「ザリガニ」が子ども同士をつなぐ
「ザリガニ」で広げられる学び
トトロカードのねらい
学校で見せる顔、家庭で見せる顔
「なぜ」にこだわる教師でありたい
マリオの気持ちを知る
崩壊の中でも踏ん張り切れたのは？
話し合いをする時必要なこと
「大変な子ども」が教師を鍛えてくれる
荒れたクラスが誇りを持っていくには
あとがき







吉益敏文（よします・としふみ)
1952年京都市生まれ。京都府公立小学校教諭。教育科学研究会副委員長。関西・京都教育科学研究会事務局長。臨床教育学会会員・日本作文の会・どの子も伸びる研究会・地域民主教育全国交流研究会会員。著書に『子ども、親、教師すてきなハーモニー』（かもがわ出版)他。

山﨑隆夫（やまざき・たかお）
1950年静岡県生まれ。元東京都公立小学校教諭。現在、都留文科大学非常勤講師。教育科学研究会常任委員。学びをつくる会、日本臨床教育学会会員。主な著書に『希望を生みだす教室』（旬報社）『パニックの子、閉じこもる子達の居場所づくり』（学陽書房）『なぜ小学生が荒れるのか』（共著、太郎次郎社）


花城　詩（はなしろ・うた）
公立小学校教諭。教師歴８年。全国生活指導研究協議会会員。

齋藤　修（さいとう・おさむ）
千葉県公立小学校教諭。全国生活指導研究協議会常任委員。共著書に『教師を拒否する子、友達と遊べない子』（高文研）『荒れる小学生をどうするか』（大月書店）『学級集団づくりの基礎・基本』（千葉全生研）

篠崎純子（しのざき・じゅんこ）
神奈川県公立小学校教諭。通常級、支援学級、通級学級などを担当。全国生活指導研究協議会常任委員。特別支援教育士。臨床発達心理士。共著書に『がちゃがちゃクラスをガラーッと変える』『ねえ！聞かせて、パニックのわけを』（高文研）他。