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ドクちゃんは父になった

ベトちゃんドクちゃん分離手術を支えた人たち

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著者	野島　和男編著
ジャンル	社会 > 各国事情
出版年月日	2014/02/10
ISBN	9784874985359
判型・ページ数	4-6・192ページ
定価	本体1,800円＋税
在庫	在庫あり

この本の内容

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“ベトちゃんドクちゃん”の分離手術は、1988年当時、日本でも連日報道され、一躍話題になりました。
臓器など共有部分を多く持つ彼らの手術は、困難を極めました。また、ベトナム戦争後の混乱期になされた一大手術でもありました。
その後、「ドクちゃん」と呼ばれていた少年は結婚し、二人の子どもを持つ父親になっています。彼が父親になるまでには、困難なことの連続でした。もし手術が失敗したら…、もし人気者のドクくんが感謝の心なく育ってしまったら…、尽きない心配を克服して、彼が家族を持つまでの、彼を支えた医師や看護師たちの感動ドキュメンタリーです。

術後25年がたち、“ベトちゃんドクちゃん”について書かれた本の最新作にして、彼らの生母のことや現在の暮らしまで、初めて明かされることが満載です。

ホーチミン市在住の編著者が、ベトナムで書かれた本を基に翻訳し、自らも直接インタビューし、日本向けに文章を加えました。

【編集者より】

ベトちゃん・ドクちゃんは、1981年生まれ、ちょうど私と同年代です。子どもの頃、彼らが治療のために日本へ来たことや、分離手術が成功したことは、リアルタイムで新聞やニュースなどで見聞きしていました。
しかし、この手術は、とても困難な手術で、腎臓がベト・ドクそれぞれの分があるのかさえ、前日までわからなかったそうです。また、二人に一つしかないものは、どうやって分けるのか、医師団は数か月前から激しい討論を交わしたと言います。いかに大変な手術だったか、この本の中でご理解いただけると思います。
分離手術を受けるまで、ドク君は「ぼくは21世紀まで生きられるだろうか？」と考えていたそうです。しかし、ドク君は今も生きて、それも施設ではなくホーチミン市の小さな一軒家で家族とともに暮らしているのです。分離手術の前、だれがこのような未来を想像できたでしょうか。
この本は、ベトちゃん・ドクちゃんが生まれるところから、詳細な手術シーン、手術後のドクちゃんへのインタビュー、執刀した医師たちの人生、彼らを支えたお母さん代わりの助産師さんのこと、結婚後のドク君、そして父親となった今現在の心境を語る場面まで、彼らのことが詳細に語られています。アメリカとの戦争を終えて間もなかったベトナムで、彼らの手術の成功は、国中が喜びに湧くような嬉しいことだったのです。
また、野島さん自らが書き下ろした、序章「ベトチャンドクちゃんが生まれた国」は、ベトナムの国の成り立ちがよくわかります。はじめに、終章で書かれたドクちゃんとの付き合いの近さにも、親近感を覚えます。
ベトちゃんドクちゃんと、彼らにかかわる医師たちのすべてがわかる、一冊です。

（小林　彩）

はじめに
序章　ベトちゃんドクちゃんが生まれた国
第１章　直前まで続いた医師団の葛藤
第２章　歴史的な15時間
第３章　過酷な宿命
第４章　実母が語るベトちゃんドクちゃん
第５章　混乱の時代を乗り越えて
第６章　ベト・ドク手術で学んだチームワーク
第７章　温かい人情
第８章　分離手術後、８歳のベトちゃんドクちゃん
第９章　ベトちゃんドクちゃんの育て親たち
第10章　チュンおばあちゃん
第11章　ツーズー病院とベト・ドク
第12章　手術から20年たったドクちゃん
終章　ドクちゃんの家
執筆と編集を終えて

野島和男（のじま　かずお）
1959年、東京生まれ。2003年にベトナム、ホーチミン市へ移住。現在、ホーチミン社会人文大学外語センター講師。ツーズー病院のベトちゃんドクちゃん関連のほか、ホーチミン・テレビ局（HTV）や戦争証跡博物館などの日本語翻訳を手掛けている。