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観光コ－スでないウィ－ン

美しい都のもう一つの顔

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今も残るユダヤ人迫害の現場や強制収容所を訪ね、苦悩しつつ「過去の克服」に取り組むオーストリアの姿を伝える！

著者	松岡　由季著
ジャンル	社会 > 紀行
シリーズ	観光コースでないシリーズ
出版年月日	2004/06/10
ISBN	9784874983232
判型・ページ数	B6・246ページ
定価	本体1,600円＋税
在庫	在庫あり

この本の内容

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華麗なるハプスブルク帝国の都・ウィーン。モーツァルトの国・オーストリア……。しかしそこには、もう一つの都・国の顔があった。今も街に残るナチス・ドイツによる併合後のユダヤ人迫害の現場や強制収容所を訪ねて20世紀の悲劇を考えるとともに、戦後、苦悩しつつ「過去の克服」に取り組むオーストリアの姿を伝える！

はじめに

Ⅰ オーストロ・ファシズムの時代
ハプスブルク帝国の崩壊
軍事史博物館──皇太子暗殺の銃弾の跡
エスペラント博物館──今も生きている“平和の言葉”
カール・マルクス・ホーフ──巨大な市営住宅
二月一二日広場──左右両派の銃撃戦の戦場
ナチスによるオーストリア併合（合邦）
九九％が「合邦」に賛成した国民投票
アウガルテン庭園──ナチスの高射砲台がそのままに
モルツィン広場のナチス・ゲシュタポ跡地と記念碑
最初に強制収容所に送られた犠牲者リスト
元アスパング駅──強制収容所への出発点
シュテファン寺院──壁に刻まれた「05」のマーク
オーストリア・レジスタンス資料館
ウィーンのユダヤ人──ユダヤ広場の博物館
ユダヤ広場──入口が閉ざされた白いモニュメント
ウィーン人口の約一割を占めたユダヤ人
ユダヤ博物館──あるユダヤ人作家の生涯
ユダヤ人居住区ゲットーの鎖
「社会の悪」を押しつけられたユダヤ人
一九二四年作の無声映画「ユダヤ人のいない国」
ユダヤ人が去った後
フロイト博物館
消えたフロイトの隣人たち
ウィーンの建物の五〇％が全半壊した空襲
路面を清掃するユダヤ人──オーストリア版「水晶の夜」事件
唯一残る戦前からのシナゴーグ
「第二のドイツ人」の屈折
Ⅱ 永世中立国・オーストリアの再生
シュヴァルツェンベルク広場と「オーストリア解放記念碑」
一〇年間の連合国軍の占領をへて
「ナチスの犠牲者」神話の由来
国民党と社会党の“暗黙の了解”
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の虚偽と真実
実際のトラップ一家がたどった道
問われなかった「祖国」の内実
映画の地元での評判
戦後も否定されなかったナチス
独立への道
自国の五〇年後を想像したＳＦ映画「二〇〇〇年四月一日」
連合国との国家条約
オーストリア共和国憲法法規（中立法）
国際機関の集まるウィーン
賃料は年八円、国連の誘致にかける熱意
各国際機関のスタッフの話
クライスキー首相の時代
第三世界への積極的な支援
ベルリンの壁の崩壊とオーストリアへの影響
Ⅲ オーストリアに見る「過去の克服」
脱ナチと戦争犯罪
“みそぎ”としての「大物ナチ」の有罪判決
ワルトハイム事件
「義務を果たしただけ」という発言
国際的批判とワルトハイム氏の謝罪
変わりはじめた歴史教育
政府の努力と教師の世代交代
日本とオーストリア──教育指針の比較
マウトハウゼン強制収容所
マウトハウゼン強制収容所の歴史
引き延ばされたホロコースト被害者への補償
ユダヤ人財産没収の補償基金
地底湖ゼーグロッテの戦闘機工場
高校生と市議会の「追悼プレート」対決
歴史家委員会のシンポジウム
記憶を閉じこめたわけ──日本と比較しながら
社会パートナーシステム（ネオ・コーポラティズム）
ハプスブルク帝国の記憶に生きる
「過去の克服」の努力──ホロコースト追悼勤務センター
各国のホロコースト施設で働く若者たち
過去に取り組む人々とネオ・ナチの衝突
自由党ハイダー氏の人気
オーストリアと外国人排斥
ドキュメンタリー映画「外国人は出て行け」
拡大ＥＵの中での小国オーストリアの行方
欧州平和大学の試み
子どもたちへの取り組み
旧シナゴーグを利用した平和ライブラリー
シュライニング村長へのインタビュー
村の学校と平和教育
欧州平和大学の学生との国際交流を通じて
ウィーンの仏舎利塔（フリーデンス・パゴダ）
八月六日・九日のドナウ川での灯籠流し
Ⅳ ウィーンのオペラとカフェ
超一流の芸術を気軽に楽しめる街
音楽の都は一日にしてならず
オペレッタの魅力
ナチス統制下のウィーン音楽界
ウィーンのカフェハウス
ウィーンのカフェハウス誕生の由来
政治カフェから文学カフェへ
トロツキーも常連だったカフェ
世紀末芸術家のたまり場だったカフェ
今も文学カフェの雰囲気を伝えるカフェ
ナチスのクーデター失敗に貢献したカフェハウス
あとがき