梅田正己のコラム【パンセ15】 「桜を見る会」問題の本質は モラルの崩壊

12月2日、参院本会議での「桜を見る会」をめぐる
質疑を国会中継で見た。
見終わって残るのは底知れぬ虚しさだけである。


「桜を見る会」問題の本質は何か? 
総理の公私混同、政治の私物化だという。
また、残すべき文書の隠蔽・破棄こそが
民主主義の致命的な危機だともいう。


どちらもその通りだと思うが、私が今回の
「桜を見る会」問題の本質だと考えるのは、
この国のモラルの崩壊ということだ。

以前、中学の先生からこんな話を聞いた。
トイレで生徒が煙草を吸っている現場を押さえた。
ところが生徒は、吸っていないと言う。
個室には煙草の煙が充満しているのに、
吸っていないと言い張るというのだ。

古来、噓つきは泥棒の始まりと言われてきた。
日本の子どもはそう教えられてきたはずだ。
また、恥を知れ、というのが最大の侮辱語であり、
日本人のモラリティー(道徳性)の核でもあった。

それがきわめて怪しくなってきた。
なにしろ国権の最高機関である国会において、
ウソ、ごまかし、言い逃れ、はぐらかしが公然と
横行しているのだ。

自然の災害は外からやってくるが、モラリティーの
麻痺は内側から国を腐食させる。
これがいま進行中の最大の危機ではないか。


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