詩の力 徐京植評論集Ⅱ

「東アジア」近代史の中で

植民地支配・軍事独裁政権・労働運動の中で闘った朝鮮の詩人たち

著者 徐 京植
ジャンル 文学・詩 > 評論
シリーズ 徐京植評論集
出版年月日 2014/05/09
ISBN 9784874985465
判型・ページ数 4-6・256ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり

植民地支配・軍事独裁政権・労働運動の中で闘った朝鮮の詩人たち、母を通して知った「ことばの力」と「生きる力」、なぜ「アンネの日記」は世界中で受容され、収容所を生きのびたプリーモ・レーヴィは何に絶望したのか? 先人たちが遺した言葉の数々から、流れに身をゆだねない「生きる力」「抵抗の指針」を探る!

 

 

【編集者より】

本書を編集していて、強く印象に残った著者の文章があります。
 詩とはなにか。(中略)いまも私は、「わかった」とは言えないが、こんなふうに考えている。

 道がそこに通じているとわかっているから歩く、というのではなく、どこにも通じていないかもしれないけれど歩く、ということ。それはつまり、勝算がなければ闘わない、という態度ではない。効率とか有効性とかということとも無縁である。こういう道を行くと早く目的地に着くからこの道を行く、という話でもない。つまりこれは、勝算の有無とか、有効性、効率性、というような原理とはまったく別の原理で語られている言葉だということである。それが詩人の言葉なのだ、それが抒情詩だ、私はいまそう理解している。
自分の日々の行動を顧みて、大小問わずあらゆる決断において、「勝算がなければ闘わない」という心性が働いていないか、と考えさせられました。
「先を読みすぎる」「空気を読みすぎる」「世間の思惑を忖度する」など、今の日本社会に蔓延する重苦しい空気を作り出しているのは、「勝算がなければ闘わない」という心性が源になっていると思い至りました。
「詩の力」とは、全体主義があらゆる階層に浸透しつつある日本の閉塞状況を打ち破る“武器”になるのではないでしょうか。
先人たちが遺した言葉の数々は、今の我々にとって「生きる力」「指針」ともなります。
ぜひ、多くの方々に読んでいただきたい本です。

 

(真鍋)
はじめに

Ⅰ 私はなぜ「もの書き」になったのか

子どもの頃──最初の短編小説
詩集『八月』──高校一年、初めての祖国
大学時代──現場もなく、読者もいない
「民族文学」との出会い
西洋美術巡礼──美術との対話
その後──日本を「現場」にして

【付録】詩集 八 月
歴 史
釜山港
長 鼓
空のこと
土まんじゅうを壊せ
鐘路四街
加耶琴
臨津江
慶州にて
石 仏



Ⅱ 詩の力

第一部 魯迅と中野重治
東アジア──日本が侵略戦争ないし植民地支配をした地域
脱原発運動も平和運動
出会い損ね
ココアのひと匙──石川啄木
希 望
ある側面──中野重治
忘却のための記念
抒情詩の形での政治的態度決定

第二部 朝鮮の詩人たち──「東アジア」近代史の中で
歴史的な分岐点
あなたを見ました──韓龍雲
今も日本人に問いかけている「三・一独立宣言」
奪われた野にも春は来るか──李相和
朝鮮・沖縄・福島
省略してはならないもの
星をかぞえる夜──尹東柱
翻訳にみる植民地主義の心性
安楽死する日本の民主主義
灼けつく渇きで──金芝河
韓国民主化闘争・労働運動の中から
冬の共和国──梁性佑
労働の夜明け──朴ノヘ
三十、宴は終わった──崔泳美
石──鄭喜成
詩人とは沈黙してはならない人



Ⅲ 「韓国文学」と「世界文学」をめぐる断想
――「新しい普遍性」を求めて
「韓国文学」とは何を指すのか
「文学」がもつ限界性と普遍性


Ⅳ 越境者にとっての母語と読み書き
──ある在日朝鮮人一世女性の経験から
母が遺したノート
母の前に立ちはだかった四つの壁
母の学びの原動力
「教育がない」ことの強さと辛さ
豊穣な語りを支えた民衆的ネットワーク
〈ほんとうの声〉をどこまですくいとることができるか
逆境がもたらした出会い、ことばの獲得
母国語を日本人の枠の外へ広げる
国民(ネーション)の枠を超えた言語教育を



Ⅴ 「証言不可能性」の現在
──アウシュヴィッツとフクシマを結ぶ想像力
「地上の有力者たちよ、新たな毒の主人よ」
ジェノサイド文学の「不可能性」
表象の限界
「アンネの日記」の教訓
フランクルとレーヴィ
同心円のパラドクス


おわりに





徐 京植(そきょんしく)
1951年京都市に生まれる。早稲田大学第一文学部(フランス文学専攻)卒業。現在、東京経済大学現代法学部教員。著書に『私の西洋美術巡礼』『汝の目を信じよ!─統一ドイツ美術紀行』『私の西洋音楽巡礼』(以上、みすず書房)『子どもの涙―ある在日朝鮮人の読書遍歴』(柏書房、小学館文庫)『新しい普遍性へ―徐京植対話集』『過ぎ去らない人々―難民の世紀の墓碑銘』『半難民の位置から―戦後責任論争と在日朝鮮人』『秤にかけてはならない―日朝問題を考える座標軸』(以上、影書房)『プリーモ・レーヴィへの旅』(朝日新聞社、晃洋書房)『青春の死神―記憶の中の20世紀絵画』『夜の時代に語るべきこと―ソウル発「深夜通信」』『フクシマを歩いて―ディアスポラの眼』(以上、毎日新聞社)『ディアスポラ紀行―追放された者のまなざし』(岩波新書)など、共著書に『断絶の世紀証言の時代―戦争の記憶をめぐる対話』『ソウル-ベルリン玉突き書簡―境界線上の対話』(以上、岩波書店)などがある。

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