新刊

日中歴史和解への道

戦後補償裁判からみた「中国人強制連行・強制労働事件」

著者 松岡 肇
ジャンル 人文・歴史書 > 歴史
出版年月日 2014/12/19
ISBN 9784874985595
判型・ページ数 4-6・208ページ
定価 本体1,500円+税
在庫 在庫あり

両国の間に真の歴史和解を実現させるために、戦後補償裁判に長年かかわってきた弁護士が「政冷経冷」状態の日中関係を氷解させる第一歩を提案する。

 

日本は、アジア太平洋戦争の末期に、政府の方針に基づいて占領下の中国から約四万人の中国人男性を日本に強制的に連れてきて、重労働をさせた。これが中国人強制連行・強制労働事件である。

外務省の文書によれば、日本の35の企業が135の事業所でこれらの人々を強制労働させ、6830人が亡くなった(死亡率=18%)。日本各地で損害賠償を求める裁判が起こされたが、すべての裁判が請求を認めない結果(敗訴)に終わった。しかし、裁判後も被害の賠償を求める動きが後を絶たない。なぜなら歴史的事実として、国と企業の共同不法行為だということを日本の最高裁が認めているからである。

戦後70年を迎える2015年。日本政府が「謝罪」「賠償」を拒む中、加害企業の中には和解する企業も出てきた。

本書は、この事件を未解決にせず、両国の間に真の歴史和解を実現させるために、戦後補償裁判に長年かかわってきた弁護士が「政冷経冷」状態の日中関係を氷解させる第一歩を提案する。

 

 

 

【編集者より】

本書は、長年、中国人強制連行・強制労働事件の戦後補償裁判にかかわってきた弁護士が全国弁護団を代表して、事件の概要・裁判の経過と結果をまとめたものです。したがって、本書のサブタイトル【戦後補償裁判からみた「中国人強制連行・強制労働事件」】が、本の内容にぴったりの表現だと思います。

 しかし、メインタイトルを『日中歴史和解への道』としたのには以下のような理由があります。
 来年2015年はアジア太平洋戦争終結から70周年です。戦後の日本は「大日本帝国と「訣別」して、「平和国家」としての道を歩んできたはずでした。ところが、日中韓3国の間には「歴史認識」「領土問題」が横たわり、国のトップ同士がまともな意思疎通ができないくらい、関係が悪化しています。

 この悪循環を断ち切り、戦争のリスクを遠ざけるにはどうしたらよいか──?
 戦後の東アジア3国の〝ボタンの掛け違い〟をただすために、加害国・日本ができることの一つが、被害国の人々に対する「謝罪」と「賠償」だと考えます。その初めの一歩として、中国人強制連行・強制労働事件の裁判で確定した「歴史的事実」を受け入れ、被害者に「謝罪」「賠償」を行うべきです。

 同じ敗戦国であるドイツ経済の隆盛を考えるると、大きな阻害要因の一つである「ナショナリズム」を抑制し、ビジネスの観点から冷徹に判断する時期に入っているのではないでしょうか。日中が「和解」の道を選択することを望む日本人ならば、「政冷経冷」状態からせめて「政冷経熱」に戻すために、70年前の大日本帝国とは訣別する覚悟が求められているように思います。

(真鍋かおる)

 

プロローグ
1.円借款とは何か
ODAを定義する
日本のODAの実態
 ──円借款/無償資金協力/技術協力
2.本書のテーマと視点
対中円借款終了の背景分析
日中関係の変化を考察
対中ODAを考えるための視点
3.本書の構成について
第Ⅰ章 対中円借款開始への歩み
1.中国の外資政策変更
外資政策変更の背景
 *国際情勢の変化
 *中国国内情勢の変化
 *中国の資金需要の拡大と資金援助
政策変更を推進させた鄧小平
 *政策変更のアドバルーン・羅元錚論文
 *意識改革を呼び込んだ海外視察団
 *外資提供者=日本への期待
外資導入と日本
 *米ソとの関係と日中協力
 *ODA受け入れへの関心表明
 *新たな外資政策の確立
2.対中円借款開始の背景
日本の円借款利用の提案
 *日本の経済界の思惑
 *日中長期貿易協定の締結
 *中国の外貨不足と円借款提供の必要性
中国側の反応
 *円借款に対する態度の変化
 *円借款に関する日本側の説明
 *円借款の正式要請
諸外国の懸念への配慮
 *中国のDACリスト入り
 *欧米諸国の懸念
 *ASEAN諸国の懸念
 *ソ連の懸念
日本国内での意見調整と大平首相の決断
3.対中円借款=日本の政策意図
経済利益目的の観点
 *資源エネルギーの確保
 *対中進出の促進
政治外交目的の観点
世界を見据えた広域目的の観点
第Ⅱ章 検証・対中円借款小史
1.日中関係発展期(一九八〇年代)の対中円借款
第一次対中円借款(一九七九年度─一九八四年度)
 *中国のプラント契約破棄問題
 *日本の歴史教科書問題
第二次対中円借款(一九八四年度─一九八九年度)
第三次対中円借款(一九九〇年度─一九九五年度)
2.日中関係動揺期(一九九〇年代)の対中円借款
天安門事件と対中円借款凍結
 *天安門事件の影響
 *対中円借款の凍結
 *凍結解除
第四次対中円借款(一九九六年度─二〇〇〇年度)と中国の核実験
 *総書記と天皇の相互訪問
 *中国核実験と対中無償資金協力凍結
 *核実験停止宣言と対中ODA再開
存在感が薄まり始めた対中円借款
3.中国の経済建設と対中円借款
インフラ整備
 ──交通運輸/電力/電信電話/農業水利/都市建設
GDP押し上げ効果
第Ⅲ章 対中円借款終了の決定まで
1.二〇〇四年秋までの状況
日本国内の対中ODA批判
援助方式ごとの状況
 *もはや限界が近づいた円借款
 *やはり限界に来た無償資金協力
 *むしろ発展が望まれる技術協力
「相場観方式」による円借款供与額決定とその反省
2.中国の円借款「卒業」へ向けた動き
町村外相、小泉首相の発言
参議院ODA調査団報告書
中国側のODA「卒業」に対する反応
 *中国首脳の発言
 *中国政府内の意見
 *中国メディアによる批判
 *「卒業」発言への反発
3.対中円借款の終了決定
外務省内での検討
日中間での水面下の調整
対中ODAの方向性確定

第Ⅳ章 対中円借款終了決定の背景
     その1【費用対効果の不均衡】
1.対中ODAの政治経済上の費用
経済上の費用分析
政治上の費用分析
 *国内の反中・嫌中傾向
 *国会議員への対応
 *日中政府間での懸案化
2.対中ODAの政治経済上の効果
経済上の効果の考察
 *「開発援助」としての効果
 *「外交ツール」としての効果
政治上の効果の考察
3.対中ODAの費用対効果の分析
限界効果の減少
限界費用の増大
費用対効果の不均衡
第Ⅴ章 対中円借款終了決定の背景
その2【なぜ二〇〇五年春だったのか】
1.反中・嫌中ムードの高まり
2.二〇〇四年度対中円借款供与額決定との関係
3.町村信孝外相の存在
対中ODAに関する政策セット
前任外相の対中ODA観
*親中派の田中真紀子外相
*民間出身大臣の川口順子外相
〝主張すべきことは主張する〟町村信孝外相
第Ⅵ章 ポスト円借款時代の日中関係
1.日中関係の変化と対中円借款
対中円借款開始当時の日中関係─政府主導の関係発展期
現在の日中関係─民間主導の相互依存関係
歴史的使命を終えた対中円借款
2.現在の日中関係の特徴
3.ポスト円借款時代の日中関係
日中関係の展望
 *追われる日本、追う中国──不安定な日中関係
 *日中両国に求められる努力
 *日中両国政府の取り組み状況
今後の対中ODAに期待される役割
 *今後の対中ODAの考え方
 *小規模協力中心の対中ODA
 *日中共同での第三国支援
さらなる日中協力のために
日中関係現代史=略年表
エピローグ




松岡 肇
1931 年長崎県生まれ。54 年九州大学卒業、福岡銀行入行。72 年福岡銀行退職、弁護士資格取得を目指す。80 年司法試験合格。以後、一般事件のほか、石炭じん肺事件(北松じん肺事件、三池じん肺事件、筑豊じん肺事件)、トンネルじん肺事件、アスベストじん肺事件、原爆症認定事件・松谷訴訟福岡高裁事件などに参加、99 年から中国人強制連行・強制労働事件福岡訴訟に取り組み、弁護団事務局長として活動。2006 年東京弁護士会に転籍し、現在中国人強制連行事件・全国弁護団幹事長。13年11 月から福島原発避難者訴訟弁護団に参加。

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