第Ⅰ部 特攻隊員だった父
一 予科練に志願した父
◆父の故郷の南予の里
◆南北朝時代に遡る古い農村
◆どこで戦没したかわからない伯父
◆同行二人
◆父の大車輪
◆「がいな人」として有名だった伯父
◆「鼓膜を破った者など役に立たん」
◆特攻出撃の前に「一目でいいから会いたい」と願った祖母
◆「隣県へ疎開せよ」
◆高知県の宿毛で米軍上陸に備える
◆不思議なめぐりあわせ
二 自活しながら大阪外語大学へ
◆二六歳の大学一年生
◆朝鮮戦争と枚方事件
◆虚しさを抱えて
◆知らなかった父の側面
◆リアリストにして夢想家
三 就職と結婚──戦後一〇年ようやくつかんだ「心の平安」
◆農地改革で傾いた母の家運
◆米国映画に傾倒
◆「一膳の飯を半分でもええから……」──父と母の結婚
◆生き伸びた者のやましさ
四 反時代的な父の教育方針
◆「正しい人間になれ」
◆息子の洗礼の日に起こった不思議
◆天皇への言及の不在と父の奇妙な仕草
◆父が考えていた「教養」「文化」
◆恩師の北村哲朗先生との出会い
◆スカルノ大統領を尊敬していた父
第Ⅱ部 特攻隊員だった父の遺したもの
一 杉原千畝と歴史修正主義
◆父の教え
◆杉原千畝に惹かれて
◆家族から始まる愛の物語
◆「正義の業を行い、寄留の異邦人、孤児、寡婦を救え」
◆早稲田奉仕園と少女の涙
◆小林よしのり氏の『戦争論』
◆『新ゴーマニズム宣言』のユダヤ論のデタラメ
◆ヒレル・レビン『千畝』というインチキ本
二 リベラルと保守の間で宙づり──私の思想遍歴
◆取手の農村から都心の学校へ
◆ひどく現実味のない「初恋」
◆二冊の本との出会い
◆「理性崇拝」への懐疑
三 ヨーロッパ人文主義の後衛として
◆マザー・テレサの通訳だったシスター里見
◆手探りの修業時代
◆「良いフランス」と「悪いフランス」
◆ヨーロッパにおける極右の復活
四 知と行の一致
◆ベルナデット・スビルーとルルドの泉
◆「神さまはフランス人だから、プロシア人だからと差別などしません」
◆シェガレ神父様の思い出
◆ドレフュス事件研究会
◆「人の上に人をつくる」──福沢諭吉の優生学的イデオロギー
◆修学旅行から帰った朝鮮学校の生徒への官製のいじめ
◆桐生いじめ自殺事件でフィリピン人女児が遺した自画像
◆「困っている人を助ける者が世の中で一番偉いんじゃ」
◆イエスの十字架の意味
◆「ねたみ」がイエスを殺した
◆「姦通の女」とは何を意味するのか?
◆静寂と沈黙の方へ
五 知識人の役割とは何か
◆ペトラルカ『わが秘密』
◆「知識人」とは何か?
◆京都学派から自民党議員まで続くレイシズム
◆ベルナノスという羅針盤
◆大宅壮一の弟子だった義父の植田康夫
六 パリからインドシナへ
◆病床の父の「望郷」
◆アルジェからサイゴンの港へ
◆ベトナムからパリへ
◆パリのベトナム人
七 学問と信仰
◆ナチス占領下のヴェルディヴ事件
◆『悪魔の陽の下に』の世界
◆悪魔はねたみから生じる──ベルナノスの悪魔学
◆イエスの徹底した男女平等観
◆ルーマニアの反ユダヤ主義
八 今だけ、金だけ、自分だけ──新自由主義がもたらしたもの
◆世界を荒廃させる新自由主義
◆新自由主義的な構造改革の弊害
◆荒廃する社会のただ中で
あとがき
◆伊予弁と外国語
◆われはまたアルカディアにありき
【資料編】
捏造される杉原千畝像
──歴史修正主義者による戦争犯罪のゼロサム・ゲーム
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