「平和を、仕事にする。」
自衛官募集の宣伝ポスターに見かける言葉です。
その理想とは裏腹に、現場では人権を無視した残酷ないじめや暴力事件が蔓延しています。著者が自衛隊の取材を始めたのは5年前、サラ金問題の取材がきっかけでした。ストレスからギャンブル、酒、女遊びにはまって多重債務に苦しむ自衛官があまりに多かったからです。
今、自衛隊の中で何が起きているのか?
組織防衛の厚い壁を少しずつ突き崩す、著者のねばり強い取材で見えてきたのは、「大日本帝国陸海軍」が復活したかのような自衛隊の姿でした。
現場の営内班(旧軍でいう「内務班」)ではパワハラや暴力事件が頻発、幹部クラスは汚職に手を染め(守屋次官の事件はその氷山の一角と思われます)、そして、将官クラスには過去の侵略戦争を全否定する航空幕僚長が出現しました。
また、巨大実力組織としては、旧陸軍の親睦団体・偕行社との結びつきを強め、自衛隊幹部の政治家転身を組織ぐるみでバックアップした動きは、昭和の「軍閥」の姿と重なる部分が見えてくるのではないでしょうか。
ぜひ、本書を通して、マスコミが報道しない自衛隊の陰の部分を読者に知ってもらいたいと思います。