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38度線 非武装地帯をあるく
38度線 非武装地帯をあるく
板門店・臨津江・金剛山・鉄原・江華島・実尾島・白レイ島・開城
小田川 興=著
●46判・232頁
●2008年6月25日発行
●本体価格1600円
●ISBN978-4-87498-405-5

世界で最後の「冷戦」の現場、38度線。南北分断の軍事境界ラインに沿って、市民が近づける8つの地点を訪ね、今も変わらぬ緊迫した空気の中、肌に感じる雪解けの兆しを伝える!
朝鮮問題の専門記者として、韓国はもちろん北朝鮮にも取材に入った。
朝鮮戦争の休戦会談の会場である板門店には、韓国語学留学の頃から特派員時代、そして現在までの30年間を通じて幾度となく訪れ、その変化を見続けてきた。
大ヒット映画「シルミド」の舞台・実尾島、望郷の河臨津江(イムジン河)など、本書ではじめて紹介される必読の労作!
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●もくじ

 はじめに──非戦平和の旅として

「南北分断」と「朝鮮戦争」
  • 軍国日本の置き土産
  • 解放の喜びもつかの間
  • 引き裂かれた隣国
  • 米ソの代理戦争
  • 日本との深い関わり
T 板門店──分断の象徴
 1 緊張和らぎ観光地化すすむ
  • 南北関係の定点観測地
  • 「統一」へ牛が先に渡った
  • 「9・11」後に変化
  • 歴史が息づく会談場
  • 越えられぬ「壁」
  • 悲しい米兵の遺骨返還
  • 対決色薄れ対話定着
  • 体制映す「帰らざる橋」
  • 自由へのエクソダス
  • 軍事地帯を耕す民
  • 北から訪れた板門店
 2 緊張体感の「鉄柵ツアー」
  • 残る冷戦期の空気
  • 生々しいゲリラ侵入現場
  • 監視所が展望台に
 3 「冷戦の化石」標本──トンネルツアー
  • 北が掘削したトンネル
  • モノレールで地底へ
  • 核のカナリア
 4 統一列車の夢
  • ついに38度線を越えた「鉄馬」
  • 夢の鉄路をミニ体験
U 臨津江──望郷の河
 1 血肉呼ぶ望拝壇
  • 北をのぞんで慟哭
  • おお自由の橋よ
  • 「平和の石」の声を聴く
 2 烏頭山統一展望台
  • ソウルに最も近い展望台
  • 北の生活に触れる
V 金剛山──民族和解の聖地
 1 夢を後押し陸路観光
  • 幻の聖地≠ゥら現実の聖地≠ヨ
  • 緊張感薄いライン越え
  • 心洗う翡翠色の清流
  • 案内員との会話
 2 戦争の傷痕を超えて
  • 今も残る砲台、トーチカ
  • 観光・リゾート施設づくりに懸命
  • 現実的な統一アプローチ
 3 南北の戦争指導者の別荘
  • 激戦地跡に建つ「安保展示館」
  • 動乱の前は金日成、後は李承晩が
W 鉄原──激戦地は野生の楽園
 1 冬──地雷原とツルの舞い
  • 「鉄の三角地帯」
  • 平和のバロメーター
 2 鳥が呼び寄せた「再会」
  • 動乱の中での離別
  • 五二年ぶりの帰国
 3 夏──緑おおうツメ跡
  • 爆撃で縮んだ白馬高地
  • 廃墟の植樹に救い
  • ツルの里に平和のこだま
X 江華島──強国襲来・抵抗の島
 1 地政学上の要衝を体感
  • 「黒船来航」韓国版
  • 日本軍との激戦場
  • 「歴史の捏造」第一号
 2 モンゴルの猛攻と抵抗の残照
  • 「神風」招いた(?)民軍
  • ミニパレス高麗宮址
  • 略奪された文化財
  • 山城が守る名刹
Y 実尾島──裏切りの島
  • 政治の犠牲≠ノされた特殊部隊員
  • 寒風ついて無人島へ
  • 井戸が語る「生の証し」
  • 「国家の命令」による「完全抹殺」
  • 人情の温もり
Z 白G島──海の対峙最前線
  • 開放された「対決の島」
  • 朝鮮戦争に参加した日本人
  • 不発機雷で事故いまも
  • 東北アジア漂着物共同体
  • 平壌へ向かったキリスト教布教の進入路
[ 開城──南北協力の試金石
  • 「休戦ライン」を越えて
  • 「昔から商業都市」を強調
  • 市民たちの表情に明るさ
  • 南北共通「故郷の春」歌う
  • 「食は開城にあり」
  • 核論議もかたくな
  • 離散家族の悲嘆いつ晴れる
  • 引き揚げ日本人の「希望の地」
旅の終わりに──「戦争紀念館」にて
  • ベトナム派兵で反省
  • 非武装地帯を世界遺産に
参考文献・資料
非武装地帯ツアーガイド

 あとがき



 
●担当編集者より

「冷戦」の時代、世界には一つの国家・民族を分断した3つのラインがありました。ベトナムを南北に分断した北緯17度線、ベルリンを東西に分断した「壁」、そして朝鮮半島を真二つに引き裂いた38度線です。

 ベトナム戦争と冷戦の終結によって、前の二つは消滅しましたが、38度線はいまも生きています。南北へ各2キロ、計4キロの幅で、248キロにわたって朝鮮半島を横断している軍事境界線(非武装地帯)は、したがって"冷戦の最後の現場"だといえます。

 この休戦ラインは、いまも鉄条網で仕切られ、実弾を込めた銃を持つ兵士と監視塔によって見張られていますが、南北対話の進展によって、少しずつ少しずつ市民が近づける場所が開かれてきました。

 現在、ジャーナリストを含め市民が接近できる軍事境界線のスポットは次の8カ所です。
 まずは@休戦会談が行われた板門店、A首都ソウルから最も近い統一展望台から望める臨津江(イムジンガン)、B韓国の財閥・現代グループが観光ルートをつけた仏教の聖地・金剛山、C朝鮮戦争で最大の激戦地だった鉄原、D過去に列強の侵略を受け今も軍事境界線に程近い江華島、E映画「シルミド」の舞台となった秘密基地・実尾島(シルミド)、F同じく海の南北対峙の最前線・白島(ペンニョンド)、そして最後Gがこれも現代グループによって工業団地を造成中の古都・開城(ケソン)です。

 本書は以上の8つの地点を訪ね、最新の模様を伝えたルポルタージュです。新聞記者として、ソウル支局長時代を含め朝鮮半島問題をざっと40年にわたり取材してきた著者は、小さな変化にも目をとめ、雪解けの兆しを肌に感じ取ります。
 その意味で本書は、"冷戦の現場"取材を通して、今なお続く南北対立の張り詰めた空気の中に、明日の和解への予感を伝えるレポートだともいえます。

 今年は、休戦会談からちょうど55年になります。3年間にわたった朝鮮戦争では、500万人の死傷者と、それに加え南北合わせて1000万の離散家族が生み出されました。
この事実に象徴される隣国の悲劇に改めて向き合い、非戦の誓いを新たにするためにも、心ある人たちが、朝鮮戦争の所産である38度線を、本書により著者と共に歩いてもらえたら、と願っています。


(梅田正己)


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