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小さな大学の大きな挑戦
小さな大学の大きな挑戦
沖縄大学50年の軌跡
沖縄大学五〇年史編集員会=編著
●46判・232頁
●2008年6月10日発行
●本体価格1600円
●ISBN978-4-87498-403-1

1958年、沖縄初の私立大学として誕生、初期には創立者の大学私物化に対する民主化闘争に明け暮れ、ついには教授会による「自主管理」となり、その後、沖縄の日本「復帰」に際しては、大学設置基準の機械的適用に反対、教授たちによる文部省前の座り込みで「存続」をかちとり、以後は「地域に根ざし、地域と共に」を合い言葉に、ユニークな教育実践を積み重ね、経営面でも今や「A1」(超優良)の評価を得るに至った。沖縄大学――模索と挑戦の五〇年!
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●担当編集者より   
●関連書籍



●目次

プロローグ
  • ゼロからの出発
  • 「米留」「日留」制度と琉大事件
  • 高まる進学意欲の受け皿として
  • 学園の民主化と生き残りをかけて
  • 独自の教育実践を積み重ねて
T 沖縄初の私立大学
 1 沖縄初の私立大学の開学
  • 嘉数学園の設立
  • 設立当初の沖縄高校
  • 短大開学の頃
  • 一九六〇年当時の学生生活
 2 四年制沖縄大学の誕生
  • 初の私立四年制大学
  • 創立時の沖大
U 学園民主化の嵐の中で
 1 初期の民主化闘争
  • 沖大教職員労組の結成とスト
  • 労使対立への学生の視点
  • 沖大教職労スト権確立と三大要求スト
  • 初めての学長選挙
 2 「学園分離」をめぐる対立と紛争
  • 「学園民主化の為の四氏退陣要求書」
  • 家政科再開問題
  • 復帰運動の高まりを反映
  • 嘉数学園からの分離へ、教授会と学生会の共闘
  • 分離協約
  • 全学共闘会議のバリケード封鎖
 3 「自主管理」の日々
  • 対立激化
  • 自主管理での授業再開と卒業・入学式
  • 理事会の実力行使と全学協の対抗手段
  • 民主化運動の《決着》
V 大学存続への道のり
 1 「復帰」に伴う私立大学統合問題と存続問題
  • 「大学設置基準」のカベ
  • 大浜私案の提案と当事者の反応
  • 沖大独自案の模索
  • 大浜私案の承認
  • 統合反対の表面化
  • 「沖縄大学存続声明」
 2 廃校は認めない
  • 存続闘争の始まり
  • 政令改正裁判闘争
  • 文部省前の座り込み
  • 沖大存続闘争の本質
  • 急転、大学設置認可申請へ
W 地域に根ざす大学をめざして
 1 「大学存続」は果たしたものの
  • 七三年入学生の「身分保障」問題
  • 大学移転問題
  • 土壇場での身売り♂避
  • 新生沖縄大学の出発
  • 大学理念の確立
  • 外科手術を終えて安良城退陣
  • 仲原遺跡を発見した学生たち
 2 新しい教育実践の全面展開
  • 入試改革から始まる大学教育改革
  • 地域に根ざすカリキュラム
  • 全国で初の他大学との単位互換制度
  • 県外にも広がった学生の出身地
  • 離島僻地・マイノリティー推薦入学
  • 時代を切り拓く土曜教養講座
  • 大学を地域へ──琉球弧縦断移動市民大学
  • 沖縄で、沖縄を学ぶ──沖縄セミナー
  • 就職率トップの沖縄大学
 3 「マッチ箱三つの大学」からの脱皮と飛躍
  • 入学生の増加と一号館の建設
  • 二号館の建設と地域研究所の発足
  • 自主管理体制が可能にした大学再建
  • 高校分離と学園名称問題
X 今も続く模索と挑戦
 1 魅力ある学部・学科づくりをめざして
  • 改編を迫られた背景
  • 法学と経済学を統合した法経学部の新設
  • 人文学部の設置と学生定員の一挙拡大
  • 一部(昼間)、二部(夜間)統合とこども文化学科の設置
  • 一・二部統合後の法経学科と福祉文化学科
  • 大学院現代沖縄研究科の開設
 2 地域の教育ニーズに応えるために
  • 自己点検・評価にとりくむ
  • 中長期経営計画の策定
  • 相互評価・認証評価の申請
 3 「地域共創」に向かって
  • 那覇市と協働のまちづくり
  • エコキャンパスからエコシティへ
  • 駐車場問題と脱クルマ社会宣言
  • 沖縄島南部全域に広がる協働のまちづくり
  • 小・中・高校生への研究支援
  • 「泡盛講座」と「お菓子講座」
 4 学生が主役の大学づくりへ
  • 大学全入時代≠迎えて
  • 新入生オリエンテーション
  • 問題発見演習とアドバイザー制度
  • 学生による授業評価アンケート
  • 討論集会「沖縄大学は私が変える!」
  • 芸能、語学、スポーツ等ではばたく
  • 就職指導からキャリア形成支援へ
  • 学生の卒業時満足度調査
 5 大学教育改革の四つのプログラム
  • 文科省の大学教育改革支援プログラム
  • ノートテイクから広がる大学づくり
  • 美ら沖縄・環境まちづくりリーダー育成事業
  • 菓子等食品ビジネスプランナー養成プログラム
  • 学びあい・支えあいの地域教育の拠点の創成
〈年表〉沖縄大学五〇年の歩み

 あとがき




 
●担当編集者より

 第二次大戦まで沖縄県は、大学はもとより高等学校や専門学校を持たない唯一の県でした。中等学校を出て高等教育機関で学ぶためには、海を渡って本土へ行くよりなかったのです。

 大戦後、沖縄を日本本土から切り離して完全支配下に置いた米軍は、県民の教育要求に押されて戦後四年たった一九四九年、琉球大学を設立しました。その後、高まる進学意欲を受けて五八年、初の私立大学として沖縄短期大学が設立され、三年後に四年制の沖縄大学となります。

 復帰運動が燃えさかった六〇年代をへて七二年、沖縄は日本に復帰しますが、そのとき沖縄大学は文字どおり存亡の危機に立たされました。狭い敷地に乏しい施設・設備でやりくりしてきた沖大は、文部省の定める大学設置基準を満たしていないとして認可されなかったのです。
 戦後二七年間、米軍の占領統治下におかれた沖縄の特殊事情を一顧だにしない文部省に対し、教授たちは文部省前で座り込み抗議に入ります。

 こうして認可はかちとったものの、大学の経営はどん底状態となり、ついには身売り問題さえ持ち上がります。そうした中、背水の陣をしいた教授会は、「地域に根ざし、地域に学び、地域に奉仕する、開かれた大学」というスローガンを掲げ、新たな教育実践に突入していきます。

 今日のAO入試を先取りした入試改革、カリキュラム改革、本土の大学との単位互換制度、市民を対象にした土曜教養講座、琉球弧縦断移動市民大学、本土の高校教師を主対象にした沖縄戦の戦跡・基地フィールドワーク「沖縄セミナー」などです。

 こうした取り組みを始めてから三〇年、今もまだその模索と挑戦はつづいていますが、経営に関しては、日本私立大学振興・共済事業団による診断で、「A1(超優良)」の評価を得ています。

 国立大学の独立行政法人化や十八歳人口の減少で、大学は今や冬の時代を迎えています。この厳寒の季節をどう生き抜くのか、「沖縄大学五〇年の軌跡」は大きな示唆を与えてくれるはずです。


(梅田正己)


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