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●目次
第T章 青春期内科に届く訴え
- 病院での私の一日
- 時代を映す若者の心の病
- 青春期内科とはどんな疾病を扱うところか
- 受診・入院の条件
- 〔症例@〕身体表現性障害、うつ状態の隆くん
- 〔症例A〕過呼吸、全身の筋肉痛を訴える聡子さん
- 罰点がつく入院規則
●入院規則
第U章 治療への第一歩・認知療法
〈1〉「心」を形成する三つの要素
生きがい
〈2〉認知療法とは何か
- 言葉の訓練から始まった隆くんの治療
- 小集団療法
- あえて「症状を出す」
- 過去に起きたことを整理し始めた聡子さんの治療
- 〔症例B〕パニック発作に苦しむ幸子さん
- 発作の四つの要因
- わざわざ「症状を出す」ことの意味
- ファンタジーの世界から抜け出す
- 認知療法は治療者と患者との共同作業
- 過去の恐怖とパニック障害
- 「認知の歪み」を生む要因
- パニック障害になる人と、ならない人
第V章 若者が受け取る陰性のメッセージ
〈1〉「生きていてはいけない」
- 〔症例C〕衝動的にリストカットする美穂さん
- 血をみると安心する
- 相次ぐ家族の自殺
- なぜ「生きていてはいけない」のか?
〈2〉「太ってはいけない」
- 〔症例D〕太っている自分を許せない育子さん
- 幼児期から自分を否定されて
- 太っても相手に捨てられない
- 〈3〉「成功してはいけない」
- 〔症例E〕何をやってもつきまとう失敗
- 美人の女性に助けを求めて
- 陰性のメッセージはどうしてつくられるか
第W章 思春期と性
- 心身の病気を持つ若者にとっての「性」
- 赤ん坊を殺してしまった……
- ペニスが立たないんです
- 〔症例F〕中絶の後遺症が招いた発作
- 〔症例G〕EDの彼氏との出会い
- 〔症例H〕父からの性暴力
第X章 人はどうして「心の病」になるのだろう
〈1〉遺伝的要因と環境的要因
- 〔症例I〕兄が統合失調症の善男くん
- 〔症例J〕三歳で父が自殺した雄之助くん
- 遺伝的要因で起きるさまざまな病気
〈2〉「家族」が発症の要因になるとき
- 〔症例K〕過食、嘔吐を繰り返す智子さん
- 智子の生育歴から
- 過食と嘔吐の背景
- 〔症例L〕リストカットでケロイド化した傷痕
- 「第二の父」に豹変した彼
- 父親の来院を求め、話し合う
第Y章 子どもがまっとうに育つには
〈1〉子育ての七つの節目
鞁乳児期のスキンシップ
靺離乳期の食行動
鞆トイレット・トレーニング
鞋恐怖
鞏友達とうまく交われるか
鞐ほめられ体験
鞜ゥ我の形成
- 朝の挨拶のない家庭
- 言葉の学習
- 家族に求められる条件
〈2〉愛情の処方箋
- 食欲──食行動が人間をつくる
- 物欲──物欲をコントロールする
- 性欲──家庭の中での性の位置づけ
- 創造力──新しいものへの挑戦
第Z章 回復への道──青春期内科のプログラム
〔1〕フィンガー・ペインティング
- 〔症例M〕灰色の円は「今の自分」
- 〔症例N〕なぐりつけた模様は母への怒りの表現
〔2〕運動療法
- 〔症例O〕中学二年から豹変した卓也くん
- 「自分なんか、いらない子だ……」
- ウォーキングでの新しい発見
- 自由と放縦の違いを知る
〔3〕陶芸療法
〔4〕Peer(仲間づくり)
- 〔症例Q〕がんこさんの話
- 心が淋しいと言っている
- みんなの討論/「甘え」ってなんだ?
〔5〕小集団療法
- リストカットするのはなぜ?
- リストカットを止めるには
- 背景に若者たちの「言葉の欠如」
〔6〕親子カンファレンス
- 親と患者と医療者で話し合う
- 親子カンファレンスを「聴き合い」の場に
- 子どもの意見に耳を傾けて!
- 涙ぐむお母さんたち
- ホンネが出てくる親子カンファレンス
- 親も子も楽しみを持つ人生を
私が歩いてきた道──あとがきにかえて
●担当編集者より
もう終刊になってしまったのですが、高校生対象の雑誌『ジュ・パンス』を編集していた頃、紙面作りの大きなテーマの一つが性の問題と並んで「若者の心の病」でした。リストカット、摂食障害、過呼吸症候群などなど、一体なぜこんなことがなぜ起こるのか、どうしたら回復できるの……、保健室の先生などにも登場していただいて何度か記事にしたことがあります。それだけに今回、全国でただ一つしかないという「青春期内科」のドクター森崇先生が執筆を引き受けてくださった時、一番にお願いしたのは、このやっかいな心が関わる病をどうやって回復に導くのか、その治療の実際をお聞きしたいということでした。
そのお願いに正面から応えてくださったのが、この本です。森先生の治療の基本は「認知療法」、そして何より規則正しい生活、そしてさまざまな病院プログラムが用意されていること。その一つ「親子カンファレンス」には私も参加させてもらいました。
これは、親と子(患者)の相互理解をめざして年に四回ほど行われるものですが、その日も会場いっぱい!全国から百名近い参加者。冒頭、手を挙げて、語り始めたIさんの訴えはこうでした。
《私は父さん、母さんに言いたいことがあります。私が何か言う時、怒らないで私の話を聞いてほしい。私が苦しい時、話を聞いて、受け止めてほしい。私にはずーっと言えなかったことがありました。私は小一から短大卒業までずーっといじめられていた。中学校の時は女子のグループからベランダに呼び出され、何人にも囲まれて「生意気だ」とか言われ、男子には「気味悪い」「爬虫類」とか言われ、机をベランダから投げられたりしました。つらくて悲しくて、でも親に迷惑かけちゃいけないと、家に帰っても何も言えなくて、その分、親やきょうだいに反抗ばかりしていました……》
Iさんの泣きながらの訴え、その訴えに必死に答えようとするお父さん、お母さんたち。相互のやりとりが森先生の司会する中、午前中いっぱい続くのです。
「親子カンファレンス」が企画されたのは、若者たちの心の病に家族の問題、親との問題が大きく立ちはだかっていることが多いためですが、詳しくはぜひ本書をひもといてほしいと思います。
いま現在、心の病の苦しんでいる若者、その家族、学校の先生方、医療関係者の方々にはきっと待ち望まれた「救いの本」であろうと確信しています。
(金子さとみ)
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