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高文研 top さらば、哀しみの青春 【立ち読みコーナー】
 著者 
水谷 修(みずたに・おさむ)
1956年、神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部哲学科を卒業。83年に横浜市立高校教諭となる。92年から同市立定時制高校に勤務、2004年9月に高校教諭を辞職。高校在職中から、青少年の非行問題、薬物問題に取り組み、「夜回り」と呼ばれる深夜の繁華街におけるパトロールを続けてきた。高校教諭辞職後も、全国の子どもたちから寄せられるメール・電話相談に答えながら、講演活動で全国各地をまわっている。
主な著書:『さらば、哀しみの青春』『さらば、哀しみのドラッグ』(以上、高文研)、『ドラッグ世代 [新装版] 薬物汚染と闘う夜回り先生』(太陽企画出版)、『夜回り先生』『夜回り先生と夜眠れない子どもたち』『こどもたちへ』『夜回り先生のねがい』(サンクチュアリ出版)、『さよならが、いえなくて』『夜回り先生の卒業証書』『夜回り先生 こころの授業』『あした笑顔になあれ』『あおぞらの星』(以上、日本評論社)ほか多数。


おわりに


 この本の元になっている『さらば、哀しみのドラッグ』は、日本で数少ない、子どもたちのために書かれたドラッグについての教育書として、多くの子どもたちに読んでもらえました。また、多くの学校や少年院、少年鑑別所などの施設で、ドラッグについての教科書として使っていただけました。私は、『さらば、哀しみのドラッグ』を出版したとき、もう二度とこのような本を書くことがないことを願っていました。このような本の必要のない、子どもたちが笑顔で明日を求めて生きる時代こそが、私がこころから求めているものだったからです。

 しかし、残念ながら子どもたちを取り巻く環境はさらに悪化し、ドラッグの問題もさらに深刻化しています。そのため、今回のこの本を出版することとなってしまいました。哀しいことです。

 私の関わった若者たちは、もうドラッグをからだと心で知ってしまいました。彼らには「さらば、哀しみのドラッグ」ということばは存在しません。ただ、日々ドラッグとたたかい続ける人生だけが死に至るまで続いていきます。

 私にもこの「さらば、哀しみのドラッグ」ということばは存在しません。私はドラッグに苦しむ若者たちとともに生きる道を選びました。そして、多くの若者たちをドラッグによって奪われました。私はこれからも日々ドラッグとたたかっていかなくてはなりません。

 しかし、まだ、ドラッグに関わっていないみなさんには、ドラッグのことなんてまったく考えることもなく、生きていくことのできる可能性があります。どうぞドラッグに近寄らず、ドラッグの魔の手をふりはらい、笑顔で幸せな人生を過ごしてください。

 私はこの本を、これまでのすべての私の経験と知識をもとに、私の知っているすべてを書きました。ですから、一部の人たちから「ここまで若者に知らせてしまったら、かえって若者がドラッグに興味を持ってしまう」と批判されるだろう内容も、正直に書いてきました。確かに、この本はこれからドラッグを乱用してみようと考えている若者にとってのよい教科書ともなる可能性もあります。みなさんがこのような意味で、この本を使わないでくれることを祈っています。

 ドラッグは、人がこころに哀しみや怒り、寂しさやあきらめなどの隙間をもってしまったときに、忍び寄ってきます。幸せな人、明日に夢を見る人には近づいてきません。子どもたちにお願いです。いつも、美しいものにふれ、優しさを配り、明日を夢見てください。ドラッグが最も恐れ嫌うのは、笑顔です。いつも笑顔を。

 最後に、この本の出版を快く引き受けてくださった高文研のみなさん、特に真鍋かおるさんに心から感謝します。



  二〇〇七年九月
水谷 修



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