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●目次
はじめに
T 政治の場で
- ベルリン・ホロコースト犠牲者追悼碑
- 賠償の出発点・ルクセンブルク合意
- ドイツはいくら賠償金を支払ったのか
- なぜブラント首相は追悼碑の前でひざまずいたのか
- 「歴史リスク」とはなにか
- いつから加害責任と向き合うようになったのか
- イスラエル・アラブの双方から信頼されるドイツ
- ドイツ軍の国外派兵が周辺国の反発を招かない理由
- アウシュビッツ生存者の団体を支援する政府
- 全国数千カ所に広がる追悼施設
U 教育の場で
- ナチス時代を重視する歴史教科書
- 歴史の授業は「暗記」ではなく「討論」が中心
- 国際教科書会議の歴史
- 東西冷戦下での西ドイツとポーランドの教科書会議
- 独仏共同教科書の誕生
- 加害責任の追及に積極的なマスコミ
V 司法の場で
- アウシュビッツ裁判がドイツ人に与えた衝撃
- 10万人以上の容疑者を捜査したナチス犯罪追及センター
- ヒトラーが命令した障害者安楽死計画
- 「個人の罪」を重視するドイツ人の戦争責任観
- 時効廃止で、一生追及されるナチスの戦犯
- 問われなかった司法の戦争責任
- アウシュビッツ否定は法律違反
W 民間の取り組み
- ドイツの企業はいくら賠償したのか
- 過去の暗部を公表したフォルクスワーゲン社
- 元被害者との交流・支援を行うNGO「償いの証」
- 「償いの証」にアウシュビッツ生存者が寄せる信頼
- アウシュビッツに建設された「国際青少年交流の家」
- アウシュビッツに派遣されたドイツの若者たち
- 元被害者たちとの対話が和解への第一歩
X 過去との対決・今後の課題
- 極右勢力の伸張
- 極右による暴力事件の増加
- 不十分だった東ドイツの過去との対決
- 反ユダヤ主義の兆候──燃やされた「アンネの日記」
- 噴き出した「過去との対決」への批判
- くすぶり続ける「ポーランド追放問題」
- ドイツ人は「被害」を語ることができるのか
あとがき
参考資料
●担当編集者より
この本を手に取られる読者は、日本の戦争責任・戦後補償、歴史教育に関心を持つ人が多いと思います。日本が目を背けてきた戦争責任、それにともなう戦後補償問題、近現代史を軽視してきた歴史教育のツケが、今、アジア諸国との摩擦の火種になっています。この問題を放置しておけば、火種はますます大きくなり、日本は孤立化の一途をたどります。
著者はこの問題を「戦争中に被害を与えた国から、歴史認識について批判されて、外交関係、経済関係に悪影響が及び、国益が損なわれることがある。これを私は『歴史リスク』と名づけている」と書いています。
私は、これまでの日本の戦争責任に関する議論は、政治や論壇の中では激しい論争が繰り広げられてきたように思いますが、生活者としてこの問題に相対するというレベルにはなかったように思います。
ところが、グローバリズムが進み、世界中が商売相手となり、大企業だけでなく、中小企業も海外に事業所を持つようになった現在、問われるのは日本政府の公式見解ではなく、今、目の前にいる生活者としての日本人です。特にアジアには、日本が植民地にした国、侵略した国がたくさんあります。その国々で商売を成功させるには、単なる商取引における信用関係だけではすまない、強い信頼関係を築く必要があります。その最大の障害になるのが「歴史リスク」だと思います。
この本は、著者が経団連で講演した論考が元になっています。これまで、日本の近現代史や戦争責任問題に関心のあった人々とは違う、世界中を相手にするビジネスマンが、著者の講演を聴いたわけです。いくら海外へ留学し、現地の言葉をマスターしても、母国の歴史(特に「負の歴史」)を自らの言葉で語ることのできないと、仕事に差し支えると考え始めたビジネスマンが出てきたということです。おそらく、これまではビジネスマンの世代が戦中派であったり、その子どもの世代であったりして、かろうじて戦争を語れる世代であったことが幸いしていたのかもしれませんが、今やビジネスの最前線に立つのは、戦争未体験世代(近現代史無知世代といってもいいでしょう)が中心です。その彼らが、アジア諸国で仕事をする時、直面する「歴史リスク」をどのように受け止めるか。その参考になるのが「ドイツの例」です。
ですから、この本は、日本の近現代史や戦争責任・戦後補償、歴史教育に関心のある人だけでなく、現役バリバリのビジネスマンの人たちにも読んでもらいたいと思っています。
(真鍋かおる)
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