この本の著者・鈴木賢士さんは、小社からすでに2冊の写真集を出されており、今回の本が3冊目です。
これまでの2冊は『
韓国のヒロシマ』『
中国人強制連行の生き証人たち』、そして今回の本は、東京大空襲の傷あとを追いかけたものです。
一夜にして(それもわずか2時間という短時間に)10万人が焼き殺され、100万人が焼き出されたという東京大空襲、その阿鼻叫喚は想像するだに怖ろしい光景です。
その空襲の悲惨は、高木敏子さんの『ガラスのうさぎ』や早乙女勝元さんの『東京大空襲』など数多く出版され、小社でも『
15歳が聞いた東京大空襲』を刊行してきましたが、その一方、あの空襲で、心の傷はもちろん、体に大きな傷(障害)を負わされたまま戦後60数年、国からは何の補償もなく生きてこられた方がたくさんいるということを、どこまで知っているでしょうか。
片腕を失った人、足をなくした人、聴力を失った人、ケロイドでひどいイジメに遭った人……その被害者を一人ひとり訪ね、体験を聞き取り、カメラにおさめたのが今回の本です。
東京大空襲の被害者たちは今年3月、国に謝罪と補償を求めて裁判を起こしますが、鈴木さんの今回の本は、その貴重な証言記録となるはずです。東京大空襲のみならず、日本の起こした戦争という蛮行、その傷あとを執念ともいえる迫力でカメラで追い続けている75歳の写真家に心から脱帽です。