高文研 topへ 戻る検索ページ
チェチェンで何が起こっているのか
チェチェンで何が起こっているのか
林克明+大富亮=著 特別寄稿・寺沢潤世
●四六判・256ページ
●2004年3月発行
●本体価格1800円
●ISBN4-87498-320-0

大国ロシアと小さなチェチェン民族の戦いはどうして始まり、なぜ続くのか さながら「現代の黙示録」ともいえるチェチェン戦争に光を!
モスクワの南一五〇〇キロ、カスピ海と黒海に挟まれた広さ岩手県ほどのチェチェン共和国。大国ロシアはなぜここに侵攻し、チェチェン民族の抵抗はなぜ続くのか。 厳戒体制が続くチェチェン潜入ルポと、チェチェン・ウォッチャーの考察により、「隠された戦争」といわれるチェチェン問題を理解するための、待望の入門書!
写真35点収録!
注文へ

カートの中を見る購入方法購入までの手順
▲ご希望の数を入れて「カートに入れる」をクリックすると買い物かごに入ります。キャンセルも出来ます。
商品お届け時に、総計額を配達員に支払うだけ。簡単です。ご利用ください。
立ち読みコーナーへ←クリック



●目次

プロローグ──チェチェン戦争とは何か

T章 なぜチェチェンで「戦争」は続くのか……大富 亮
  • 独立運動の始まり
  • 第一次チェチェン戦争
  • 戦間期─束の間の不安定な平和
  • 第二次チェチェン戦争
  • コーカサス戦争
  • ロシア革命とチェチェン
  • 強制移住
  • 強制移住から帰還後のチェチェン
  • 現代のチェチェン戦争の原因
  • チェチェン紛争はどうなるか
U章 モスクワ劇場占拠事件─知られざる当事者の肉声……林 克明
  • 幕開け
  • 観劇していたチェチェン人
  • ひとりの女性ゲリラとの会話
  • 事件の背景にあるもの
  • あと一歩で劇的な解決へ
  • 特殊部隊の突入
  • チェチェン人への弾圧
  • 真実を葬る構図
  • 「テロ事件」の図式
  • コラム=チェチェンを知るために@
V章 チェチェンで続いている拷問、虐殺、処刑……大富 亮
  • 市民に対する戦争
  • 各地で発見される遺棄死体
  • 不当逮捕、人身売買、拷問、処刑
  • 犠牲者数の推計さえ存在しない
W章 忘れえぬ人々─現代チェチェン人群像……林 克明
  • 深夜の緊急電話
  • イスラム武装勢力の主流は「市民防衛軍」
  • 検問所のチェックにひっかかる
  • 収容所で拷問にあったミカイル
  • 執拗な尋問を切り抜ける
  • グルジアからチェチェンへ潜入
  • 「死の街」グローズヌイで生きる人々
  • チェチェンに住むロシア人の現状
  • 家族と故郷を守るために戦う男たち
  • ミカイルと一瞬の再会
  • 「カリスマ野戦司令官」バサーエフ
  • マスハードフ大統領に会う
  • アパート爆弾テロはチェチェン人の犯行か?
  • 生きていたマダーエフ一家
  • 砕かれたアスランの夢
  • 増える非戦闘員の犠牲者
  • ロシアの戦争目的は「小数民族抹殺」なのか
  • コラム=チェチェンを知るためにA
X章 ジャーナリストの誕生……林 克明
  • 謀略のからくり
  • 取材活動が犯罪に
  • ほとんどが女性ジャーナリスト
  • ジャーナリスト、ハズマンの誕生
  • モスクワからグルジアへ
  • 瓦礫の街・グローズヌイ
  • グルジアでチェチェンプレス復活
  • チェチェン国境の難民の村へ
  • ジャーナリストを殲滅せよ
  • 難民をだまし討ち
  • ジャーナリスト、ライーサの原点
  • 隠された事実
  • 「不死身の女」との再会
  • チェチェンへ潜入
  • 逮捕、尋問、退去
  • 戦争が投げかける暗い影
  • コラム=チェチェンを知るためにB
Y章 チェチェン戦争の諸相……大富 亮
  • 戦争の原因を考える
  • ロシア国内の混乱の収拾と権力の委譲
  • なぜプーチンだったのか
  • チェチェン独立は隣接地域への連鎖を招く
  • ダゲスタン事件
  • 真相を考える三つの情報
  • 「国民投票」から見えてくるもの
  • 「大統領選挙」
  • 日本の新聞報道の中のチェチェン
  • ロシアの人権団体が見た選挙の実態
  • 権力の所在
Z章 何のための苦しみか チェチェンが示す21世紀の黙示録……寺沢潤世

《資料》チェチェン関連の書籍、映像ガイド

チェチェンをめぐる略年表

エピローグ──いま私たちに出来ること


 
●担当編集者より

 大国ロシアと小さなチェチェン民族の凄惨な戦いはなぜ続くのか。両者の関係の血の歴史とともに、チェチェン戦争の本質を伝える本を作ろうと、相談を始めたのは1年半ほど前でしょうか。何とか本になったものの、書店でたくさん売れるものではないでしょう。チェチェンって、どこ? が現実ですから。

 なぜチェチェンなのかを、ここでと思っていたのですが、筆者のひとり、大富さんが「チェチェンニュース」3月11日号にこんな文章を書いています。

《「大富さんは普段何の仕事をしているんですか、なぜチェチェンのことを書きつづけるんですか」と、知り合う人ごとに聞かれる。いつも答えにつまって、
「いろいろな偶然の結果です」などと、あいまいにする。一つ目の質問には、私は、チェチェンとまったく関係のないアルバイトをしながら、ひとりで暮らしている、と答えられる。けれどもうひとつの「なぜ」に答えるには、少し考えなければ自分にもわからない。

 1999年、美術系の大学を出たばかりの私は、小さな出版社にもぐり込んでは辞める日々を送っていた。身を入れて仕事を覚えようともしないくせに、世の中のことを全部知っているような気分でいた。結局私は肝心の己を知らず、いたずらに賃仕事を繰りかえして時が過ぎていった。それでも、何とか一人前になる道が欲しかった。まるで浮浪児のようだったその頃、とあるNGOに拾われることになる。

 第二次チェチェン戦争はその時に起こった。独立を勝ち取ろうとしていた小さな共和国が、内部からかく乱され、民主的に選挙された大統領は無力になり、あげくロシア軍が無差別攻撃を始めた。三カ月のあいだの死者は数千を超えた。グロズヌイという40万人の首都は見渡す限り瓦礫の野原になり、住民の大多数は逃げ、運の悪いものは砲撃と爆撃で殺された。それがプーチンの「テロリスト掃討作戦」なのだという。こんな犯罪と欺瞞が許されていいのか。

 ある日は冬陽が斜めに差す暗い午後、麻布台のロシア大使館の前で、参加者わずか5人の反戦デモをした。またある日、たった一人で大統領あての抗議文を手にしてその門を叩けば、見たこともない大勢の警察官たちにとり囲まれて小突かれ、怒りと心細さに、目は真っ赤になった。大国に追い詰められているチェチェンを助けようとする人など、どこにもいないことの、これ以上ない
「たとえ」のようで、その痛いような無力感は今も忘れがたい。

 その時にはじまった、悔しさにつきまとわれる日々の中から、「チェチェンニュース」が生まれた。

 最初は誰にも期待されなかったチェチェンニュースが、この新しい本につながっている。共著者の林は外科医のように現地に立ち入り、読者の眼となってチェチェンの惨事を書き記した。私は内科医のように、遠いチェチェンから聞こえるニュースに耳を傾け、その背景にある文脈と策謀を理解しようとした。医師ならぬ書き手の知る処方はわずかだが、なぜこの戦争があり、私たちがこれから何をするべきかが、明確な像を結ぶよう、力を注いだつもりでいる。》
 
 この文章、本当ならエピローグの原稿と差し替えてもと思ったのですが、もう印刷段階でした。おそらく書き切ったところから出てきた文章なのでしょう。ですからあえてここに転載し、「陰のエピローグ」とします。
 
 書店発売前に刊行説明会をしたり、外務省の記者クラブにレクチャーに出かける、冷たい雨の中、3月20日のイラク開戦1年の日比谷の集会でアピールしたりと、行動的なふたりの筆者です。
 どうかご一読ください。
山本邦彦


当サイトは出版社・高文研が管理・運営しています
Copyright (C) by KOUBUNKN Co.,Ltd. Tokyo Japan